2021-11-23
遺産として不動産などの財産を相続する際に問題となってくるのが、特別受益です。
それほど馴染みのない言葉のため、特別受益とはどういったものなのかわからなくて困っているという方も多いのではないでしょうか。
今回は、不動産などの遺産相続に関わってくる特別受益とはどのようなものなのか解説します。
不動産や預貯金など、遺産を相続する際に問題となってくるのが特別受益です。
特別受益とは、一部の相続人が一定の条件を満たす生前贈与や遺言によって得た利益のことを指します。
そのため、財産分与の対象となる遺産とは別に、ある特定の相続人に対してのみ譲渡された不動産や預貯金となります。
特別受益を考慮せずに、残った相続財産のみを法定相続分に応じて相続人同士で分けてしまうと、当然遺産の相続額に大きな偏りができ、公平とは言えません。
民法では特別受益にあたる生前贈与があった場合、その額をすでに相続したものとして考えるのです。
また、相続開始時に被相続人が持っていた相続財産額に、特別受益にあたる生前贈与を加算した額をみなし相続財産とします。
このみなし相続財産をもとに、遺産分割することによって、公平な相続ができるように定めているのです。
不動産をはじめとした遺産相続に関わってくる特別受益には、さまざまな種類があります。
まず、生前贈与に含まれる特別受益です。
生前贈与のすべてが特別受益にあたるわけではありません。
生前贈与のうち特別受益に該当するのは、婚姻や養子縁組または生計の資本のための贈与です。
婚姻や養子縁組のための贈与には、婚姻および養子縁組の際の持参金や支度金が含まれますが、結納金や結婚式の費用は該当しないとされています。
しかし、その定義はあいまいな部分が多く、遺産の前渡しと言えるかどうかが判断の鍵です。
次に、遺言書により特定の相続人が遺産を譲渡される遺贈が特別受益にあたります。
また、贈与者が生前に、「自分が死んだらあなたに遺産を贈与します」と特定の人物と契約していた場合、死因贈与となります。
死因贈与は贈与者と受贈者双方の合意があれば成立可能です。
この受贈者が相続人であった場合、特別受益となるのです。
一方で生命保険金や死亡退職金、生前に渡されていた生活費や日常的な教育費、小遣いなどの少額の贈与は基本的に特別受益には該当しないとされています。
ですが、生命保険によって得られる金額が極めて高額な場合などは、生命保険が特別受益とみなされる場合もあります。
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