2021-09-14
不動産の相続に関して、近ごろは遺贈に対する関心が高まっています。
核家族化が進んでいることや、親や子、兄弟など誰もいない単身者増加の影響もあるでしょう。
また、義援金やボランティアなどの社会貢献が身近になってきたことも関わっているかもしれません。
この記事では、不動産相続を控えている方に向けて、個人への遺贈に関する情報を説明していますので、ぜひ参考にしてください。
相続とは死亡した人が所有していた財産や権利義務を受け継ぐことをいい、遺言書がなくても遺産は法定相続人に渡されます。
これに対し、遺贈とは遺言書によって財産を渡すことをいいます。
相続で遺言書を書くこともありますが、通常、相続人に対しては「相続させる」と表現するため、遺贈は法定相続人以外の人に使われる場合が多いでしょう。
民法964条では、「遺言者は包括または特定の名義で、その財産の全部または一部を処分できる」と規定しています。
これにより、被相続人は法定相続人以外の個人や法人でも財産を渡せます。
遺贈には、包括遺贈と特定遺贈の2種類があります。
包括遺贈は、相続財産の全部または一定割合を遺贈する方法です。
たとえば、「長男の嫁Aに財産の30%の権利義務を渡す」とあったとします。
この場合、Aは30%の権利だけではなく30%の債務や借入金に対しても承継することになってしまいます。
放棄する場合は、包括遺贈を知った日から3か月以内に、家庭裁判所おいて申請しなければなりません。
3か月経過してしまうと、包括遺贈を承認したことになるので注意が必要です。
また財産全部を法定相続人以外の人に遺贈した場合、後から遺留分をめぐりトラブルに発展する場合もあるでしょう。
一方、特定遺贈は目的物を特定して遺贈する方法をいいます。
たとえば、「友人Bに○○の土地を遺贈する」とある場合、遺言でとくに指定がない限り相続債務などを負う必要はありません。
また特定遺贈はいつでも自由に放棄できます。
ただし、他の相続人から意思表示を求められた場合、その時点で放棄の意思表示していなければ承認したものとして扱われます。
遺贈を受けた場合は、税金が発生することを忘れてはいけません。
この税金は、贈与税ではなく相続税になります。
法定相続人でない人に課される相続税は、通常の相続税の1.2倍です。
さらに遺贈に拠って受け取った財産が不動産だった場合、相続税だけではなく不動産取得税と登録免許税もかかってきます。
ちなみに、法定相続人が不動産を相続した場合は基礎控除があり、遺贈に比べ相続税率も登録免許税率も低く、さらに不動産取得税は不要と優遇されています。
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