2022-12-13
「売却したい不動産があるものの、肝心の所有者や共有名義人が行方不明」というケースでも、正しい手続きをとれば不動産売却をすることは可能です。
今回は、そのために必要な失踪宣告の申し立て方法を解説したうえで、失踪宣告確定後の売却方法や、共有名義人が行方不明の場合に重要な存在となる不在者財産管理人の概要についてもご説明します。
不動産所有者や共有名義人に行方不明者がいる場合、不動産売却をするためにはまず失踪宣告の申し立てをし、その確定を受けることが必須です。
失踪宣告とは生死不明の方を法律上で死亡したものとみなすための制度のことで、失踪宣告の申し立てをして確定を受けることができれば、不動産売却のスタートラインに立つことができます。
ちなみに失踪宣告には特別失踪(危難失踪)と普通失踪の2種類があります。
まず特別失踪とは、戦争や船舶事故、自然災害などが死亡原因になり得る災難(危難)に遭遇して生死不明になった方に対する失踪宣告であり、該当する災難が去った1年後から失踪宣告の申し立てが可能です。
これに対して、普通失踪とは行方不明者に対する失踪宣告であり、行方不明となった日から生死不明の状態が7年以上経過しなければ、失踪宣告の申し立てができません。
失踪宣告の申し立てをし、確定したとしてもそれだけで不動産売却ができるわけではありません。
役所に失踪の届け出をしたうえで、不動産の登記簿上の名義を実際の不動産売却をする方に変更するための方法として、相続登記をおこなう必要もあるのです。
相続登記が完了してようやく、その相続人が不動産の所有権を得て不動産売却の手続きに入ることが可能となります。
ちなみに失踪宣告確定後に行方不明者(売却する不動産の前所有者)が発見された場合は、失踪宣告の取り消しをすることも可能です。
共有名義人が行方不明という理由で不動産売却の手続きが進められないという場合は、代理人として財産を管理する「不在者財産管理人」を選定・選任して売却可能な状態にするという方法があります。
選定・選任のおおまかな流れとは、利害関係人(この場合は共有者)または検察官が行方不明者の従来の住所地・居住地の家庭裁判所に対して申し立てをするというものです。
ちなみに不在者財産管理人になるための要件は、法的には限定されていないものの、スムーズな実務のために弁護士や司法書士が選ばれるのが一般的です。
不動産所有者や共有名義人が行方不明の場合、不動産売却を実現するためには所定の手続きが必要です。
普通失踪の場合は失踪宣告ができるまでに長い期間が必要となりますが、それでも手続きは必ずしなければならないということを理解しておきましょう。
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